精密な根管治療であなたの歯を長持ちさせます
歯の根のなかには、神経や細い血管などの『歯髄(しずい)』が通る根管(こんかん)が通っています。根管治療とは歯髄を除去したあと、根管の内部を清掃して感染を防ぐための詰め物をする治療です。根管治療は神経を除去しなければならない進行した重度のむし歯の治療や、過去に被せ物をした歯のむし歯が再発した際に行います。
歯の神経は複雑に入り組んでおり、網の目状になっています。これらを可能な限り取り除き、内部を清掃して薬をつめる治療は慎重に行うべき難易度の高い治療です。当クリニックでは歯科用CTやマイクロスコープを使用して、根管の状態を正確に診断し、慎重な治療を心がけております。
日本の根管治療の現状について

根管治療の難易度は高く、日本における治療の成功率は約50%程度と言われています。実際に神経を除去してから一定の時間が経過したあとにレントゲンを撮影すると、約半数に炎症が見られるという報告もあります。 根管治療は再治療が必要になることが少なくありません。再治療が必要なケースは全体の70~80%と高く、そのうちの約半数が歯根の部分である『根尖(こんせん)部』に出血が起きて破壊されている『根尖破壊』や、炎症が起きているといったケースです。
根管治療の成功率が低い理由とは
歯科治療が進んでいる欧米諸国に比べると根管治療の成功率が低い日本ですが、その理由はどこにあるのでしょうか。
ひとつ目は適切な医療機器を使用せずに根管治療を行うことで、完全に神経を除去しきれてない、消毒が不十分だったというケースが挙げられます。当クリニックをはじめ、最近では歯科用 CTやマイクロスコープのような高度な医療機器が導入されている歯科医院が増えています。しかし、かつてはこうした医療機器なしで根管治療を行っている歯科医院がほとんどでした。
また、設備が整っていたとしても、それを使いこなせる技術や、十分な治療時間を確保できていなければ、治療の成功率は低くなります。
ふたつ目は患部を無菌状態にせず、治療が行われている場合があるという点です。当クリニックでは、無菌処置を施すために『ラバーダム防湿』といって治療する歯のみをゴムのシートで隔離し、細菌が入りにくい状態にする処置を行っています。
最後は根管治療の正しい知識や技術を身につけている歯科医師が少ないという点でしょう。根管治療は勘に頼らず、正しい診断をして処置を行うことがなにより重要なのです。
根管治療で使用する医療器具
歯科用CT

デジタル撮影で、口内の断面を鮮明な画像で映し出せる機器です。血管や骨の状態を精細に把握し、高度な診療を実現します。根管治療にあたっては、根管の見落としがないかどうかのチェックや、根の極細の部分の病変確認のために活用しています。
マイクロスコープ

マイクロスコープ(歯科用電子顕微鏡)は、患部を最大20倍に拡大できる高性能な機器です。 肉眼では見えない歯根の内部を精細に映し出すことができるため、根管治療においてより安全で高精度な治療のために活用します。 また、患者さまにも画像や動画を共有し、通常の口腔内写真と比較しながら現状や治療の過程をご確認していただきます。
逆根管治療について
他の根管治療で症状が改善できない方もご相談ください。
過去に受けた根管治療の精度に不安がある方や、何度治療を受けても症状が改善しないという方も、一度当クリニックまでお気軽にご相談ください。
根管治療の専門的な知識と技術を駆使し「歯を残す」ことを優先し、悪くなった患部を取り除く下記のような外科的手術で対応できるケースがあります。
歯根端切除術
根管治療を行っても歯の根の先に感染や病巣が残っている場合に、歯茎を切開し、感染が起きている根の根尖部を外科的に切除する方法です。
切除後には、歯根側から特殊な充填剤をつめる『逆根管充填』を行います。これにより、これ以上感染が広がるのを食い止め、抜歯を回避できる可能性を高めます。
メリット
- 抜歯を回避できる可能性がある
- すでに装着されている被せ物を外さずに治療ができる
- 感染源を直接目視で除去することができる
デメリット
- 外科手術が必要となる
- 根の長さが短くなるため、歯の寿命に影響することがある
- 病巣の大きさや位置により適応できないことがある
| 治療回数 | 2回~3回程度 |
|---|---|
| 通院期間 | 1日~数週間(手術後の経過観察含む) |
意図的再植術
歯根に非常に大きな病巣ができている、または外科的なアプローチが難しい場合に、歯を一度抜いて、細菌感染している部分を直接確認しながら完全に除去します。
病巣を治療した後、すぐに歯を元の位置に戻す方法です。歯の根の周りの『歯根膜』が健全に残っていれば、歯は一度抜いても再接着し、機能させることが可能です。
メリット
- 複雑な病巣を目視で確認し、除去することができる
- 抜歯を回避し、ご自身の歯を使い続けられる可能性がある
- 被せ物を外さずに治療ができる
デメリット
- 外科手術が必要となる
- 成功率が100%ではないため、再植後に定着しないリスクがある
- 歯根膜の状態によっては適応できないことがある
| 治療回数 | 2回~3回程度 |
|---|---|
| 通院期間 | 1日~数カ月(再植後の固定・経過観察期間含む) |
歯髄温存療法(VPT)
歯の神経は「歯髄」と呼ばれる部分で、歯髄を除去する治療は、神経だけでなく歯の内部を少なからず切削することになります。そのため、歯がもろくなって折れやすくなります。また、知覚が無くなるためむし歯に気づきにくくなったり、あるいは感染の再発が起こりやすくなったりして、歯の寿命を縮めることにつながってしまいます。
しかし近年、リペア材・保護剤として効果の高い「MTAセメント」が開発され、これを用いることで従来は神経を除去していたような場合でも、感染していない部分の神経を残す「歯髄温存療法(VPT)」が可能になっています。
当クリニックでも、この歯髄温存療法を行い、患者さまの神経を残し、それによって歯そのものを残すことが実現できるよう注力しています。
なお、歯髄温存療法は保険適用外・自由診療となります。
メリット
- 歯の神経(歯髄)を温存することで、歯の寿命を延ばすことに繋がる
- 歯がもろくなるのを防ぎ、歯が折れにくくする
- 神経が残ることで、むし歯の再発や進行に気づくことができる
デメリット
- 感染した神経を取りきれず、治療後に痛みや症状が再発することがある
- 治療が成功しない場合、改めて神経を除去する治療が必要となる
- 保険適用外(自由診療)となるため、費用がかかる
| 治療回数 | 1カ月程度 |
|---|---|
| 通院期間 | 1回~3回程度 |
各種費用について
| 歯根端切除術 | 110,000円 |
|---|---|
| 意図的再植術 | 110,000円 |
| 歯髄温存療法(VPT) | 33,000円 |
※費用はすべて税込
