歯周病治療

Periodontaldisease

歯周病治療について

歯周病は、むし歯と並んで歯を失う大きな原因とされています。

歯周病は痛みがなくても進行していることが少なくありません。

もし、歯茎の腫れや痛みなどがある場合は、すでに歯周病が進行している可能性があります。重度になると、抜歯になることも少なくありません。

失った歯を補う方法には「入れ歯」「ブリッジ」「インプラント」などがありますが、天然の歯に勝るものはありません。

当クリニックでは、できるだけ歯を抜かずに済む治療方法を模索し、患者さまご自身の歯の維持を目指して歯周病治療に取り組んでいます。 

歯周病の進行度と症状・治療方法

STEP1 歯肉炎

症状
歯石や歯垢(プラーク)が歯に残っていると、細菌によって歯茎に炎症が起こります。これが歯周病の初期段階である「歯肉炎」です。歯茎の腫れやブラッシング時の出血が生じることがあります。また、健康な歯と歯茎の間には1~2mmのすき間がありますが、歯肉炎が起こると2~3mm程度まで深くなります。これが「歯周ポケット」です。
治療法
歯面に付着しているプラーク・歯石などを除去する「スケーリング」を行います。
スケーラーと呼ばれる器具を使い、歯の表面を滑らかにしていきます。併せて、患者さまご自身が行う正しいブラッシングについて、歯科衛生士が指導します。
STEP1 歯肉炎

STEP2 歯周炎(軽度)

症状
炎症が悪化すると、歯周病菌が歯を支えている組織である「歯槽骨」を破壊していき、「歯周炎」と呼ばれる状態になります。歯周炎は歯茎の腫れや出血が起こり、口臭の原因にもなります。
治療法
軽度の歯周炎も歯肉炎と同様にスケーリングや、丁寧なブラッシング指導を行います。
STEP2 歯周炎(軽度)

STEP3 歯周炎(中度)

歯肉の状態
歯槽骨の吸収が進んで歯周ポケットがさらに広がり、歯茎の深いところまで細菌感染が及びます。歯がぐらつきはじめ、食べ物が噛みづらくなることがあります。
治療法
歯根面(歯の根っこの部分)に沈着した歯石などの細菌感染を除去するために、スケーリング・ルートプレーニングと呼ばれる処置を行います。場合により、麻酔が必要になることもあります。
STEP3 歯周炎(中度)

STEP4 歯周炎(重度)

症状
歯周ポケットが6mm以上に広がり、歯槽骨の半分以上が破壊された状態です。歯のぐらつきがご自身でも認識でき、痛みが生じる場合もあります。進行状態によっては、抜歯を避けられないケースもあります。
治療法
取りきれない細菌感染を徹底的に除去するため、「フラップ手術(歯肉剥離掻爬術)」などの歯周外科手術が必要になります。状況により、溶けてしまった歯槽骨の再生を促す「歯周組織再生療法」を行います。
STEP4 歯周炎(重度)

スケーリング・ルートプレーニングとは?

スケーリング・ルートプレーニングとは?

スケーリングとは、歯茎より上の部分や、比較的浅い歯周ポケットに付着した歯石やプラーク(歯垢)を、専用の器具(スケーラー)を使って徹底的に除去する処置です。これにより、歯周病の原因となる細菌を取り除きます。 さらに進行した歯周病に対して行うのがルートプレーニング(SRP)です。歯茎に隠れた深い歯周ポケットの奥深くにこびりついた歯石や汚染されたセメント質を除去し、歯の根の表面を滑らかに磨き上げます。根の表面をツルツルにすることで、歯石やプラークが再び付着しにくい状態にし、歯周組織の回復を促します。

メリット

デメリット

治療回数 2回~6回程度
通院期間 数週間~2カ月程度
※歯周病の状態や進行度、治療範囲により異なる
費用 SRPまでは原則保険診療、歯周再生療法は1ブロック110,000円(税込)

全身の病気につながる歯周病

歯周病の炎症によって生じる毒性物質は歯茎から血管を通じて全身に行き渡り、さまざまな病気を引き起こしたり、悪化させたりする原因になります。

代表的な例が糖尿病です。さらに、動脈硬化が原因で起こる心筋梗塞・脳梗塞・肥満・早産・低体重児出産・アルツハイマー病なども歯周病との関連が指摘されています。

全身の健康を維持するためにも、 歯周病の予防ケアや早めの治療を意識しましょう。

歯周病治療の流れ

1

診査・診断

問診票をもとに、歯と歯茎の状態を診断します。 歯周ポケットや歯茎を確認し、レントゲン撮影も行います。

2

歯周基本治療

歯周病治療の基本はスケーリングとルートプレーニングという清掃処置です。必要に応じて麻酔を使用し、しっかりと痛みをコントロールしながら治療を行います。さらに、正しいブラッシング指導を行い、ご自宅でのケアもアドバイスします。

3

再評価

一定の期間が経過した後、再度ご来院いただきます。歯と歯茎の状態や歯周ポケットの深さが改善しているかどうか確認を行います。

4

歯周外科手術

歯周基本治療で歯茎の状態に改善が見られなかった場合、外科的に歯茎を開いて歯根面を明示し、残った歯石などをしっかりと除去していきます。

麻酔や術後の鎮痛薬と抗生剤で、痛みと感染をしっかりコントロールします。

5

歯周病安定期治療(Supportive Periodontal Therapy:SPT)

一連の歯周病治療で症状が安定したら、定期的に歯周病の検査とお掃除をします。

定期的に歯科クリニックでチェックを行うことは、歯と歯茎の健康、ひいては全身の健康を維持・増進することにつながります。 

再生療法について

歯周病が進行すると、歯を支える歯槽骨(顎の骨)や歯根膜(歯と骨をつなぐ組織)といった歯周組織が破壊されてしまいます。歯周再生療法とは、失われたこれらの組織を、特殊な薬剤(エムドゲインなど)や膜(GTR法)といった材料を用いて意図的に再生させる外科的な治療法です。

歯肉を切開して歯周ポケットの奥深くにある病巣を取り除いた後、歯槽骨が失われた部分に骨の再生を促す薬剤を塗布するか、再生を妨げる歯肉の侵入を防ぐ生体適合性の膜を設置します。これにより、失われた組織が自然に回復するスペースと時間を確保し、歯周組織を元の状態に近づけることを目指します。

この治療により、歯の動揺を抑え、歯を抜かずに残せる可能性を高めます。

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